一歩入るとそこは別世界。本場プラナカンを体感、ミシュランビブグルマンの名店 “True Blue Cuisine”
行き方
MRTのCity Hall駅で下車、徒歩約7分。
City Hall駅は緑色のWest East Lineと赤色のNorth South Lineが両方使えるのでアクセスは非常に良い。
お店の雰囲気
お店のレビューに入る前に、まずは少しプラナカン文化について説明をしたいと思う。
プラナカン文化とは、マレー人と華人の文化が混ざり合った、マレーシアやシンガポール、インドネシアなどの地域で根付いた独自の文化のことだ。
15世紀にマラッカという王国が栄えていた頃が起源となる。
当時、マレー半島とスマトラ半島にまたがる地域にあったマラッカは海上交易の拠点として非常に栄えていた。そこに多くの中国人が移民としてやってくることになる。そのため、マレー人と華人が共にこの地域に居住することで、両者の文化が接触する機会が多くなった。
さらに、華人は移民として異郷に暮らす中で、自分たちの文化を維持する必要性を感じ、また現地の文化にも興味を持った。そのため、自分たちの文化を現地の文化と融合させることによって、生活しやすくすることを試みた。
これがプラナカン文化の起源と言われている。
では、うんちくはここまでとして、レストランのレビューに戻ろう。
このレストランの最大の魅力はその雰囲気にあると言ってもいい。
店内はプラナカンの伝統的な装飾が施されており、そこはまるで別世界のようだ。
食事の前にまずはその空気感にあっと驚かされるであろう。
こちらがお店の外観である。
提灯に書かれた中国語がいかにもプラナカンらしい。
お店のドアを開けると、この仏壇のようなものが我々を迎えてくれる。
ここは本当にレストランか?と勘違いするような趣深い演出である。
左右を見渡すと、プラナカン装飾で彩られた食器や小物が並べられている。
こちらはお土産用に販売されているようだ。
見ているだけでとてもワクワクしてくる。
壁に架けられている写真が誰なのか、、モノクロの感じからかなり昔に撮影されたものであろう。このお店の創業者なのかプラナカンの歴史人なのか、、とにかく入り口を一歩入っただけでこれだけ楽しませてくれるお店も珍しいのではないだろうか。
そして更に奥に行くと、レストラン空間が広がっている。
円卓を囲む形のテーブルがいかにも中国文化らしい。
こちらのレストラン空間の装飾も全てプラナカンの伝統的なもので飾られている。
また、外からは分からなかったが、中は意外と広い。個室もあった。
プラナカンの伝統文化をしっかりと感じられるこの内装はとても素晴らしい。
シンガポールに旅行で来た際のレストランとしても大変オススメである。
料理
プラナカン料理は、マレー人と華人の文化が融合した、プラナカン文化を代表するとてもユニークで魅力的な料理である。
プラナカン料理の特徴は、豊富なスパイスとハーブを用いたその個性的な味付けが挙げられる。
代表的なスパイスとしては、レモングラス、ガランガル、ターメリック、コリアンダー、シナモン、スターアニスなどがある。これらのスパイスを使った独特の香りと風味が、プラナカン料理の魅力の一つだ。
また、その華やかな見た目も多くの人に愛される理由の一つとなっている。
それでは、自分が実際にオーダーした料理を紹介していこう。
こちらがプラナカン料理の前菜の定番と言われる、クエ・パイティー(Kueh Pie Tee)
小さなカップに千切りされた大根の甘煮を入れて、チリソースをかけて食べる。
このような感じだ。
お店によってはここに海老を入れたり、錦糸卵を入れたりする。
華やかな装飾を好むプラナカン文化が体現されたような、見た目も楽しめる可愛らしい前菜である。
次の料理がこちらのオタ・オタ(Otak-Otak)
このオタ・オタもプラナカン料理の一種で、魚のすり身に香辛料、野菜、ココナッツミルクを加えて作ったペーストを、バナナの葉や竹の葉などで包んで焼いたものである。
香り高い香辛料とココナッツミルクの風味が特徴的で、スパイシーでありながらコクがある味わいだ。また、包まれた葉が香りを加え、食感もしっかりと楽しめる。
次にご紹介するのがこちら。アイスプラントサラダ(Ice plant salad)
お店の人に、今日はメニューにないオススメなサラダがある、と紹介されてオーダーしてみた。
アイスプラントの上に乗っているのはマンゴーだ。そこにブルーベリーが添えられている。
実は、アイスプラントというものが何なのか全く知らずにオーダーしたのだが、このサラダを最初見た時に、「しまった!」と思ってしまった。
というのは、自分はパクチーを始めとした、いわゆる香草類が苦手なのだ。
直感的に非常にそれに近い味がするのでは、と感じてしまった。
しかし、これが大きな勘違いだった。
食感は香草類なのだが、マンゴーと合わせて食べると、これがとても美味しい。ドレッシングとの組み合わせもばっちりで、非常にフレッシュなサラダである。
そして、このブルーベリーも絶品だ。酸味もまろやかで、正直こんなに美味しいブルーベリーは食べたことがなかった。
大当たりの一品であった。
後から調べてみて分かったのだが、アイスプラントとはいわゆる「クレソン」のことだそうだ。
それを見て、自分は驚いた。なぜなら自分はクレソンがとても苦手だからだ。
苦手なものがこれほど美味しく食べられるとは、、プラナカン料理のポテンシャルの高さを感じた。
ぜひ、オーダーできる日はトライしてみて欲しい。
そして、メインディシュでオーダーしたのがこちら。
プラナカン料理の中で非常に有名で、作るのに非常に手間がかかると言われている、アヤム・ブアクルア(Ayam Buah Kelua)だ。
黒いナッツのような果実である「ブアクルア」と一緒に、鶏肉をじっくりと煮込んだ料理である。
元来、ブアクルアには毒素が含まれており、それも丁寧に処理していくことにより美味しく食べることができるようになるそうだ。その日数はなんと40日間にも及ぶという。
メニューの中には、ブアクルアについてこのように説明する特集ページがあった。
やはりこのお店の看板メニューなのだろう。
これをライスに乗せて食べると、それはもう絶品だ。
見た目的にカレーのようなものを想像されるかもしれないが、プラナカン独特のスパイスが織りなすその深い味わいはカレーとは全く違う。
鶏肉も長時間煮込まれているだけあって、ほろほろだ。
ブアクルアは、スプーンで中身を取って食べる。うまい。
非常に貴重な経験だ。
こちらも絶対にオーダーしていただくことをオススメする。
総評
今回自分がオーダーした料理の値段がこちら。
- アヤム・ブアクルア $30
- アイスプラントサラダ $25
- クエ・パイ・ティー $20
- オタ・オタ $12
- ライス $3.5
- 白ワインボトル $65
事前にネットで口コミを見ていると、値段が高いというネガティブな口コミを割とたくさん目にしたが、それほど特別に高いわけでもない。
むしろ、この料理のクオリティとあのお店の雰囲気を味わえるのであれば全然価値のあるものだと感じる。
プラナカン料理のお店は、シンガポールでは割とよく見かけるのだが、内装も合わせてこれほど本格的な雰囲気の中で食べられるお店は数少ないだろう。
料理の味も、ミシュランビブグルマンのお墨付きだ。
旅行でも普段使いでも、我々日本人には非常に新鮮で、貴重な経験ができるレストランであることには間違いない。
訪れていただいて間違いないだろう。
住所:49 Armenian Street Singapore (179937)
営業時間:Lunch 11:30-14:30 / Dinner 17:30-21:30 日曜休み